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LA BUONA VITA 宮崎里恵のおいしい出会い
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LA BUONA VITA 宮崎里恵のおいしい出会い
第1話
こちらこそ、よろしくお願いします。
はい。家事に、料理教室にと17年間使い込んだキッチンですが、まめに磨いてきたので見た目はまだきれいでした。でも、道具と食器が年々増えていくため、料理に取り掛かる前に片付けをしなければならない状態だったんです。それに、収納扉の木のすり減りや、シンクまわりの人工大理石の欠けなども気になっていました。
一日のほとんどをキッチンで過ごす私ですから、もっと快適にしたいなと思っていたとき、撮影にいらしたスタッフに何気なくこのことを話したら、参考までにとクリナップのパンフレットを下さって。写真をペラペラめくるうちに、以前行った新宿のショールームで効率的な収納と静かなシンクが印象に残ったことが思い出されて、私の心は急速にリフォームに傾いていきました。思い立ったらすぐ行動に走る性質なので、キッチンもリニューアルして、春から新たに“私の食のライフワーク”をスタートしようと、ショールームを訪問していました。
この4月には2番目の子供も就職して、私の子育ても一応終了します。それを区切りに、料理教室の内容も一新するつもりでした。これまでは、平日の午前中のみ教室を開いていましたが、今後は午後も教室を行うなど一日をフルに使って、いろいろな活動をしたいと考えています。例えば、子供の食育教室を開いたり、全国各地の郷土料理やあまり知られていない食材を紹介したりと、ここ数年私の中で温めてきたことを多くの人にお伝えしたいと思っています。
工事前日の14時に最後の料理教室を終え、明日廃棄処分になるシステムキッチンに感謝の気持ちを込めて拭き掃除をしました。このワークトップで2人の子供に幾皿の料理を作ったことだろう、我が家特製の朝食用オートミールパンを何回練ったことだろう、と感慨にふけりながら。でも、そんな場合ではありませんでした。翌朝8時半までに、9畳の空間にあるもの全てを出さなくてはならなかったので、分類するゆとりもなく手当たり次第に物を詰めて、寝室、リビング、ダイニングと、家中にダンボールを重ねていきました。
それもありますが、日本の家庭は和食だけでなく、中華、フレンチ、イタリアン、エスニックと世界中の料理を作るので、調理器具か溢れているお宅が多いのではないでしょうか。とはいえ、予想以上の物の多さに圧倒されながら、最後の力を振り絞ってキッチンを空にしたのは翌朝の4時でした。一日で何とかなると思った読みが甘かったのですね。
意外と優雅ですよ。山積みのダンボール箱に囲まれていますが、リビングの端のソファー周辺に居場所を確保して、日毎に進むリフォームの様子を眺めながら夢をふくらませています。それに、時には台所仕事を休業するのもいいものですよ。料理が好きなので、暇があるとついパンやケーキを焼いたり、だしを引いたりと台所にこもってしまいますが、リフォーム中は読書三昧です。
時々、照明の位置などを職人さんと相談しながら、出来上がっていく姿を見ていられるのは楽しいです。大きな梱包を開けるときには、ショールームで選んだ色やデザインが本当に似合うかしらってドキドキするんですよ。所定の場所に設置して馴染んでくれると、心の中で歓声を上げてしまいます。



イタリアで始まったスローフードの哲学を日本に紹介している作家の島村奈津さんという方がいます。今、私の水先案内人となっている方なのですが、同じ考えを持つ方々とともに、食生活に留まらず質の高い生活を楽しむためのイタリア人の奥義が示されている“スローフードの本質”を、多くの人にお伝えしたいと考えています。



リフォーム中も、できるだけ良質なものを食べたいと思い、洗面台で下ごしらえをして、卓上コンロで簡単料理を作ることにしました。一皿で野菜、肉、豆腐などがとれる煮込み料理一品の簡素な食卓ですが、家族全員けっこう満足してくれています。

取材・文 三枝真理(SAIGUSA Mari)
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